ストーリー Pupetti
「新しい友だち」
地球にたどり着いたパペッチたちは、それぞれ思い思いの場所へと散らばっていきました。
ウッサは、デパートのおもちゃ売り場に潜りこんで、ぬいぐるみたちの中に紛れて、夜がくるのをじっと待っていました。
夜・・・。 静まり返ったデパートの中で、人間がいなくなったのを確認すると、ウッサはう~んと大きく伸びをしました。そして、背中のリュックから、お気に入りの望遠鏡を取り出して、辺りのようすを眺めました。
そして、つい嬉しくなって、「さあ、これから楽しい冒険の始まりだ!」と声に出して叫んでしまいました。
すると、どこからか「えっ!冒険だって?」という声が聞こえたのです。
ウッサはびっくりしたはずみで、ピョーンと大きくジャンプしてしまいました。
「だっ、誰だい?」
ウッサが紛れていたぬいぐるみの中の1つがもぞもぞと動き出して、ウッサの方へ片手を上げました。
「やあ、おいらベアードって言うんだ。」
それはウッサよりも一回り大きなくまのぬいぐるみでした。
「きみもパペッチ星人なのかい?」
驚いたウッサは、自己紹介も忘れて思わず聞いてしまいました。
「ううん、違うよ。おいらは正真正銘、地球生まれのぬいぐるみさ。地球のぬいぐるみの中にも、おいらのように心を持ってるやつがたまにいるんだぜ。」
「へ~!知らなかったよ!」
ウッサは心から感心しました。別の惑星には、おもちゃのロボットが進化したロボット星人たちが暮らしている星もありますが、この地球で、自分たちとよく似たぬいぐるみとこうして話をしたのは初めてだったのです。
「おいらを作ってくれたぬいぐるみ職人さんが、すごく大切に、心をこめておいらを作ってくれたおかげで、魂が宿ったのさ。」
「そりゃすごいや!」
その夜ウッサは、ベアードに案内をしてもらって、デパートの中をあちこち探検したのです。
2人とも、とても楽しい時間を過ごしました。
あっという間に夜が更けてきて、朝が近づいてきました。
「さあ、そろそろ僕は次の場所へ行かなくちゃ。」と、ウッサが言いました。
「そうかい。おいらも一緒に行きたい所だけど、おいらを作ってくれたぬいぐるみ職人さんがやって来て、
おいらがいなくなって悲しむといけないから、おいらはここに残るよ。」
「その人は、君に魂が宿っていることを知ってるのかい?」
「ああ、知ってる。それでいて、他の人間には内緒にしてくれているんだ。やさしい人だぜ。」
「人間の中にもそんな素敵な人がいるんだね!」
そうしてウッサは、ベアードと再会を約束して、そのデパートを後にしました。
そして僕もいつか人間の友だちを見つけよう!と心に決めたのでした。
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