宇宙からやってきたぬいぐるみ星人 Pupetti(パペッチ)
ストーリー Pupetti
「おもちゃの病院」
ゾウに似たパペッチ、パオと、リスみたいなパペッチ、リサは、あるデパートのイベント会場にやって来ていました。
その会場の壁には、「おもちゃの病院」と書かれた紙が張ってあります。その会場には、おもちゃがたくさん積まれたテーブルがあって、そこに一人のおじさんが座っていました。そして、その周りを大勢の子どもたちが取り囲んでいました。
テーブルに積まれたそのおもちゃたちをよく見ると、みんなどこか壊れているようです。おじさんは、その壊れたおもちゃたちを直しているようすでした。
そうです。「おもちゃの病院」というのは、このおじさんのように、おもちゃを直すのが得意な“おもちゃのお医者さん”が、壊れたおもちゃを直してくれる場所なのです。その場ですぐに直らないときには、何日か、「入院」が必要になります。
パオとリサは人間に見つからないよう物陰に隠れて、その様子を眺めていました。
「ねえ、あのおじさんのやってることって、私たちと似ていると思わない?」とリサがいいました。「うん。僕もそう思ってたとこや。」パオが大きくうなづきました。
その夜、デパートから人がいなくなると、パオとリサは、おじさんが作業していたテーブルの所までやってきました。
「あのおっちゃん、エエ腕してはるわ。直したあとが全然分からへんで!」 「ホント!すごいわ。」
二人はおじさんが直し終わったおもちゃの周りをぐるぐる回りながら、そんなことを言い合いました。パペッチたちも物を直したり、リサイクルしたりするのが得意なので、おじさんの腕前のすごさがよく分かるのです。
でも、壊れたおもちゃはまだたくさん残っているようでした。たぶん、あのおじさんは明日もここへやって来て、今日の続きをするのでしょう。
「ねえ、私もうがまんできないわ。私たちもあのおじさんのお手伝いをしましょうよ。」いたずらっぽく目をきらきら輝かせながら、リサがパオに言いました。
「そう言うと思ったわ。よし!じゃあおじさんに見つからないようにちょっとだけやで。」パオがそう言うと、リサはピョンと飛び上がって喜びました。
パペッチたちは、みんな好奇心旺盛で、おせっかいやきで、そしていたずら好きなのです。
リサは、自分の体よりも大きなキリンのぬいぐるみを抱きかかえながら、縫い目がほつれた所から、中の綿が飛び出していたのを直しました。リサの得意分野はぬいぐるみの修理なのです。直すだけではなく、自分で一から作ってしまうことだってあります。ついこの前も、仲良しのメイリンに頼まれて、メイリンそっくりなぬいぐるみを作ってあげたところです。
パオは壊れた飛行機のプラモデルを直しました。片方の翼がポッキリ折れていましたが、それをパオは器用につなぎ合わせました。大きな体に似合わず、パオは細かい作業が得意なのです。
2人は自分たちが直したおもちゃを、そっと修理済みのおもちゃの中へ潜り込ませました。
次の日の朝、やっぱりおじさんはやってきました。そして昨日と同じようにおもちゃの積まれたテーブルの前に腰掛けると、病院を開く準備を始めました。
しばらくの間、おじさんは、今日作業をする予定の壊れたおもちゃたちを手にとって、その具合を調べていましたが、その反対側に置いてある修理済みのおもちゃの方に、ふと目がいきました。そして、その瞬間、「ん?」と声をあげたのです。
「はて、確かこのきりんと飛行機は入院が必要だと思っていたんだが・・・。」と小さな声で独り言を言いながら、パオとリサが直したおもちゃを手に取りました。
物陰にかくれてその様子を見ていたパオとリサは、ドキッとしました。 「でも、うまく直っているところをみると、わしの記憶違いか・・・。やれやれ、歳は取りたくないもんだ。」 そんなことをつぶやきながら、おじさんはまた修理の必要なおもちゃたちの方へ向き直りました。
パオとリサはほっとして、その場を離れました。「あ~良かった。なんとかバレずに済んだわね。」とリサが言いました。
「うん、ヒヤヒヤしたけど、これで安心したわ。」とあくびをしながらパオが答えました。
「安心したら、何か眠たくなってきたわ。」そう言いながら、パオは背中のリュックからお気に入りの「マイまくら」を取り出して、頭の下に敷くと、5秒もしないうちにその場で眠ってしまいました。
「まあ!パオったら。」それを見ていたリサは、思わず笑ってしまいました。
それから、背中のリュックからコンパクトを取り出すと、自分の顔をのぞき込みました。「夜更かしするとお肌に良くないのよね・・・。」
でも、鏡に映ったリサの顔も、眠たそうです。案の定、リサも、手にコンパクトを持ったまま、パオの横で眠ってしまいました。
おやすみ二人とも。いい夢をみてね。
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