ストーリー Pupetti
「地球が大変!」
ペンギンによく似たパペッチ、ピピンは、ブータを誘って、アマゾンにやって来ていました。
2人並んで、ジャングルの上空を、腕のつばさをパタパタ動かしながら飛んでいる所です。
「ね、僕の言った通りだったろう?」
といって、ピピンは下を指差しました。
「うん、本当だ。木の数がずいぶん減っちゃったね・・・。」
ブータが驚いたようにつぶやきました。
宇宙船に乗って地球にやって来る時、ピピンは、ある事に気がついたのです。
宇宙船の窓から地球を見下ろすと、前に来た時と比べて、何だか緑の部分が少なくなってきているような気がしたのです。それで、その事を確かめようと、緑の多いアマゾン川の流域へ、ブータと一緒に降り立ったのでした。
そして、実際にこうして地表まで来ると、それは本当のことだということがはっきり分かりました。
うっそうと茂っていたジャングルの木々は、あちこち伐採されて、何も無い平らな地面がむき出しになっていました。
また、あるところでは、そうやって出来た平地を耕して、畑として利用している所もありました。
「人間にも理由はあるんだろうけど、これはちょっとやり過ぎじゃないかなあ」
とブータが首をかしげました。
「僕の計算では、このままだとあと100年ほどで地球上の森林は無くなっちゃうぞ。」
ピピンが言いました。
「ええ~!それは大変じゃないか!」
ブータはさらにびっくりしてしまいました。
「ここへ誘ったのは、パペッチ星のエコロジー大臣である君にも、この状況を見ておいてほしかったからなんだ。パペッチ星は、とても小さな星だから、ちょっとしたことで、こんな風に自然のバランスが崩れないとも限らないからね。」
とピピンはブータの顔をのぞきこみながら言いました。
「なるほどねえ、よく分かったよ。それにしても人間たちは、これが緊急事態だっていう事が分かってるのかなあ?」
その後しばらくして、宇宙船に戻ったブータは、シヴァンから通信連絡を受けました。
「やあ、ピピンから話は聞いたよ。地球が大変なことになっているんだってね。」
宇宙船のTVモニタの中で、シヴァンが言いました。
「うん、そうなんだよ。どうしたらいいだろう?」
すると、シヴァンが待ってましたとばかりにニヤッと笑って言いました。
「実は人間たちの宇宙ステーションに通信メッセージを送っておいたんだ。もちろん僕たちだって分からないようにね。これで人間たちも気がつくよ。」
「へ~、すごいじゃないか!素晴らしいアイデアだね!」
ブータが感心してほめると、モニタに映っているシヴァンの後ろから、モンクがひょっこり顔を出しました。
「へへっ、実は僕のアイデアなんだ。」
モンクが自慢げに言いました。いかにもいたずら好きのモンクらしい発想です。
「さあ、あとは人間たちがこのあとどうするかだね。ぼくたちも、これから先も今までと変わらずこの地球へ遊びに来たいもんね。」
ブータがそう言うと、シヴァンとモンクも、大きくうなづきました。
すると、ブータのおなかが「ブゥ~!」と鳴りました。
ブータのおなかは「グゥ~」ではなく、「ブゥ~」って鳴るんです。
「一安心したらおなかがすいてきちゃったよ。」ブータはほっぺたを赤くしながら言いました。
「ブータは食いしん坊だなあ!」
シヴァンとモンクは、けらけら笑いました。
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